seed:ディアッカ&イザーク(ニコル)
これまでも、これからも――ずっと。
これまでも、これからも――ずっと。
ふ、と何処からともなく聞こえてきたピアノの音色に、前を歩いていたイザークの足が止まった。音色を辿るように、何かを探すように、さり気なく首が動いたのを見る。
「……イザーク」
零した名前に気付いたのか、気付いてないのか。彼は答えることなく、何事もなかったかのように歩き出した。その後を、慌てて追う。
脳裏を過ぎったのは、嘗て行動を共にした年下の少年の姿だった。
弱虫だ、臆病者だ、と罵ったこともある、音楽を愛していた心優しき少年。ピアノが大好きだった、イザークの――。
カツカツと神経質そうに踵を鳴らして歩く姿は、いつもと変わりないものに思えた。けれど確実に、その心は揺らいでいるのだろう。
微かなピアノの音にも即座に反応してしまうほど、ニコルはイザークの近くに存在するのだ。それを、今更思い知る。想いの深さも、尊さも、みな。
(あーあ、なんでお前だったんだろうなあ)
どうしようもないことを心の中で呟いて、やれやれと首の後ろに爪をたてた。
早く、この世界が平和になればいい。
いや、そういう世界を作るんだ。もう誰も、理不尽な涙を流さなくてすむように。ニコルが愛した音楽があふれるような、そんな世界に。
「イザーク」
「……なんだ」
「頑張ろう、な」
唐突な自覚はあったので、怒鳴られるか馬鹿にされるか説教されるか、今日はどれだろうと身構えたのだが、どうやら杞憂だったらしい。イザークは足を止めぬまま、ちら、と顔だけ此方に向けると、当たり前だ、と不敵に笑った。
ぴん、と真っ直ぐのびた背中が、思っていたよりずっと頼もしく見えて、小さくわらっ た。
ひとりじゃない
( 俺も、お前も――きっとアイツも、傍にいるさ )
一応イザニコ前提話。種でイザニコを経た、デス種でのディアッカ視点を、ずっと書きたいと思っていて、でも思うように書けなくて放置してたの、引っ張ってきました(…)なんだろう。ディアッカには、ずっとイザークの傍にいてほしいです。恋愛的な意味でなく…仲間として、かな。すっかり丸くなったイザークですが、やっぱり放っておけない部分ってあると思うんですよね!恋愛部分は、未だミリアリアのことが心の端っこに引っ掛かってる状態とか好きかもしれん。イザークに「まだ諦めてなかったのか」とかさらりと言われて古傷抉られてればいい^▽^そんなこんなで、もやもやが溜まったと時は、イザークを尊敬してるシホを軽くからかってればいいよ(…)
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