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corda:土浦(→)←加地

  【気づかないでいいよ】→【それで、満足か】の続き

『お前は、お前だろ?』
  土浦の言葉に、わかってる、と内心で頷く。
  だからこそ、こんなにも君に惹かれるのだと、言い訳めいた言葉を添えて。



「……僕なんかに思いを傾ける。君が、悪いんだよ」
  言ってしまった――と、言うつもりのなかった言葉に戸惑いを覚えたのは、最初だけ。黙り込んでしまった土浦を見た次の瞬間には、己を嗤ってやりたくて仕方がなかった。
  馬鹿みたいだ。どうやら僕は、知らぬ内に期待をしてしまっていたらしい。土浦が返してくる言葉に。もっといえば、彼自身に。
  おかしな話だ。つまらないことを言った自覚はあるというのに、それさえも受け入れてくれるんじゃないか、って思ってる。
(きもちわるい)
  変わりようのない自身が愚かしく、それでも切り離せない心が疎ましかった。
  どんどん、どんどん、自分のことが嫌いになってゆく。どんなに焦がれて乞うたとしても、綺麗な人間にはなれそうもない。わかっているのに、認めたくないんだ。
  あらゆる言葉を並べてたてて自身を乏し、外側を取り繕ったとしても、やっぱり僕は“僕”が可愛い。どれだけ嫌悪しても、憎んでも、根底の部分では救われたがっているし、求めてもいる。女々しい奴だ。

  土浦も災難だね、とまるで他人事のように思った。
  少なからず、僕を思いやってくれている彼に向けるには失礼だと、わかりきっている思い。
  だけど、そんなもの今更だろう。可愛い女の子相手ならまだしも、土浦とそう身長も変わらない、正真正銘の男である僕なんかに好かれて。可哀相を通りこして、あわれみさえ覚える。
  もし、それらを思うまま口にすれば、土浦は何と返すのだろうか。
  お前が言うな。勝手に人をあわれむな。誰のせいだと思ってる。彼の言いそうな言葉を脳内で考えてみた。言葉は違えど、浮かぶ表情はみな一様に厳しく、深く刻まれている眉間の皴は、僕への不快感で満ちている。

  そこへ――触れたい、と思った。
  叶わない想いの代わりに、せめて、と。
  僕のせいで刻まれる皴、その一つ一つをなぞりたいと……また、性懲りもなく。



「……土浦も、災難だね」
「ああ?」
  片方の眉がつりあがり、思った通り、眉間に皴が刻まれた。それを見て、自然と笑みが零れるが、まだ足りない。
  土浦の手から逃れるため後方へ動かした足を、今度は近づくための一歩として踏み出す。その様子を、彼は訝しげに見ていた。
(ああ、まだ足りない)
  もう一歩、あと一歩。そうやって、すぐに触れられる距離で立ち止まる。
  土浦は何も言わず、退くこともなく、じっとこちらを見ていた。僕の次の言動を待っているのかもしれないし、自身がとるべき行動を思案しているのかもしれない。

  まっすぐな目にぶつかり、ごくりと咽喉を鳴らした。
  期待なんて捨てたはずなのに、心臓は煩いぐらい脈打っている。
  切り捨てられる言葉を待つには、些か高揚しすぎた胸を抑えて、震えそうになる唇を開いた。喘ぐように、咽喉が動く。呼吸が、うまく、出来ない。


「 好き、なん だ」


  君のことが……と続くはずだった言葉は、土浦の眉間の皴と同じように 消えてしまった。
  予想を外れてしまった“今”という現状に、うろたえる。触れたいと思ったのに、だからこそ、彼が望まない言葉をわざわざ口にしたというのに、結局失くしてしまった。
  せめて、と焦れていた指先から、す、と熱が冷めてゆくのがわかる。自分のものじゃないみたいに震える指を、ぎゅうと握りこむ。
  土浦の口から吐き出される溜息は、黒く、色付いているようにも見えた。

「俺も、お前のことは、嫌いじゃねぇよ」

  望んだのは、そんな言葉じゃなかった。
  ぶっきらぼうな声が形作ったものを、愛の言葉だと勘違いできるほど盲目にはなれなかったし、これからも続いていく友情を単純に喜べるほど、簡単な心のつくりにはなっていない。
(なのに、どうして僕は……君を 嫌いになれないんだろう)
  ぐしゃりと前髪をかきまぜた。彼が触れたのもこの前髪だと思うと、いいようのない苛立ちと恋慕が募る。

  僕を拒絶しない、君の優しさは 厄介だ。

  君の思いは、嬉しいけれど痛いんだ。好きなのに苦しいのと同じく、愛しさだって狂気に変わる。些細なことで満たされることもあれば、何をどうされようが渇きを覚えることだってある。
  そういうこと、土浦は何もわかっちゃいない。
  気づかないでいいと思った気持ちに、嘘はなかった。切ない思いを抱えても、ひっそりと想うことは出来たし、友人として傍にいることも悪くはないと思っていた。本当だ。
 (でも、もう無理だ!)
  僕の気持ちをあんな風に知られた上、好きだ、と馬鹿正直に言ってしまったからには、後戻りなど出来るはずもない。何が正しくて、何がおかしいのか、判断すら出来ない自分では、土浦の望むように接する方法なんて、もうわからなかった。
  なのに、どうだ。切羽詰っているのは、僕一人。男が男に対して、こんな想いを抱くことなんて、きっと土浦には理解出来ないのだろう。だから、そうしていられる。どこかで冗談だとでも思っているのかもしれないし、そういう風に処理されてしまったのかもしれない。
  彼が望むのは、変わらない関係であったはずだから、理解される日なんて 来ない。

  当たり前だ。僕たちはきっと、違う次元で生きている。
  ――そう、思ったら堪らなかった。


  素早い動作で、土浦の両頬を挟みこむと、乱暴に口づける。
  彼の驚きを肌に感じながらも手加減はせず、僕のいう“好き”と土浦のいう“嫌いじゃない”の違いを思い知ればいいと、舌を入れてやろうとしたところで、腹部に鈍い衝撃を受けた。
  一瞬、息が詰まる。呻き声をあげ、後方へよろめいた。
  ……触れた手は、早々に振り払われていた。
「っ、急所狙わなかっただけ、ありがたく思うんだな!」
  ぐい、とブレザーの袖で拭われた唇を見ながら、乾いた笑みを漏らす。
  さすが、サッカー部というところか。本気ではなかっただろうが、十分痛い。身体は勿論、心の方も、まあ、それなりに……なんて、強がってみるけれど、痛いものは痛い。どちらかといえば、心の方がより重症だ。
  情けないやら、みっともないやら。ろくに感情の制御も出来ぬまま膝を折ると、その場でしゃがみこみ、自身の身体を抱え込んだ。
  正直、これ以上は、何をしでかすかわからなかった。

  顔をあげることも出来ず、逃げることも出来ず。
  土浦が悪態の一つでも吐いて去ってくれるのを、ただ静かに待っていると、焦った様子の彼に、何故か肩を揺さぶられていた。
「お、おい、大丈夫か」
  かけられた声に気遣いが滲んでいて、何だか別の意味で泣きたくなってしまった。
  そんな僕の思いなど露ほども知らずに、そこまで強く蹴ったつもりは、とか何とかぶつぶつ言っている。

  君は、どこまでお人好しなんだ、と呆れるふりして嬉しさを覆い隠した。
  だって、おかしいだろう。男同士で~とか、あれだけ嫌そうな顔しておきながら、その男に無理やりキスされて平気なわけ、ないだろう? それとも、何、一発蹴ったら全て水に流せるとでもいうつもり? 君、そんな奴じゃなかったはずだろう?
  喚いてしまいたい気持ちをぐっと堪えて、もう疲れた、と胸中でうそぶく。
  考えることも、想うことも、期待も、失望も、みんな、みんな……もう、疲れてしまった。

  これですべてが終わってしまえばいいのに、という気持ちを込めて“ごめんね”と呟いた。
  顔も上げずに放った言葉は酷く掠れてしまったので、もしかしたら届かなかったかもしれない。億劫になりながら、もう一度口を開こうとしたその時、肩を揺さぶっていた手が止まった。
  ならば、聞こえたはずだ。それなのに、土浦は動かない。何も、言わない。

  早く、と心の中で彼を急かした。そうじゃないと、また同じことの繰り返しだ。
  いつまで経っても離れていかない掌から、また、じわりと熱が生まれてしまう。


  ああ、ほら ね。
  こうして君は、いとも容易く――僕の心をさらってゆくんだ。


思い知ってよ
( いいかげん、おねがいだから さ )



何故か無駄に長くなる。またぽちぽち拍手頂いたので(ありがとうございます!)調子のりました^p^ だって久々に来たら、前回の土浦視点が拍手の合計で1位になってたので余計吃驚した。土地ってありなんじゃねえの?とか錯覚するぐらいには^▽^ で、ここまで来たらくっつけてやろう!とか思ったわけですが、一歩進んで二歩下がる(…)土地になる気がしない。多分キスした時に、土浦が流されてくれry…^▽^地土だったらそれでうまくいったのかな、でも、一応土地なんで(えー)「実はずっと前からお前のこry」とか言っちゃえばうまくいくのにと思ってる。でも、うちの土浦はそんなこと言ってくれない。ひどい。ちくしょう。素直になれよ。
でも、加地は本気になったものほど~なキャラだったっけ?ってことで、もうちょっと頑張ってもらおうかと思ったんですが、これはこれでもういいかなって気もしてる。だらだら続いたってうざったいだけですよ ね。
あと関係ないけど、加地は色々諦めてるけど、フリだけで根底では諦めてなくて、諦めた!って言った後でも“もしかしたら”が消せないイメージ。手に入っちゃうものも多いから余計にさ。でも諦めたふりはちょーううめえので、土浦はそこら辺にころっといっちゃえばいいんじゃね?と今思った(*´ω`*) あれ、これ土地成立でいいんじゃね^▽^? ちなみに諦めるのは柚木の方が上手いと思ってたりする。自身を納得させるのがうまいのかな?加地は自分のこと好きだけど、あんまり自分を信じてないので、自分の言ったことも裏切っちゃう感じ(…)柚木は嫌々ながら自分をわかっちゃってる人。でも、一度ふっきれたら強いとも思ってる。全部アンコのED見れてない人のさびしい妄想です。攻略するまで加地関連休むとか言っておいて土地書いてる馬鹿です\(^o^)/主人公の名前「土浦梁太郎」にして攻略してくるわ(口だけ)でも、加地が「梁」とか呼んでたら萌えるなー(*´∀`*)

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