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おお振り:花井←水谷

  もっともっと、オレのことを意識してくれれば いい。


  花井の視線は、いつもオレじゃない何かに注がれている。
  野球のこと以外では、呼びかけたり騒いだりすることでしか、その瞳に映れない。オレばっかり花井を見つめて、その姿を追いかけては目を奪われている。

  ――不公平だ。
  声には出さず、唇だけを動かしてみる。心の内に溜まる澱みを吐き出そうとした行為のはずなのに、気は重くなるばかりだった。
 (こんな時、花井が傍にいてくれたらなあ)
  そう思ってやまないのだけれど、それは贅沢な望みでしかないのだろうか。

  視線の先、何かのプリントを手にした花井の姿があった。
  距離のせいでよくわからないけれど、部活関係だろう。静かに文字を目で追っている姿を見れば、それが急ぎの用ではないことはわかる。
  多分、名前を呼びさえすれば、花井はすぐにでもオレの傍へ来てくれるだろう。うだうだ考えて、小難しい顔になっているだろうから、もしかしたら心配してくれるかもしれない。

  彼が紡ぎだす声を、そっと想像してみる。
(どうした。何かあったのか)
  オレに対する態度が普段より軟化され、ぽんと肩に手を置かれるところまで、ぼんやりと浮かんだ。……相当重症だ。

  ごつん、と机か壁辺りに、頭を打ち付けたい衝動に駆られる。
(ばかじゃん、オレ)
  自分から呼びかけた上で、そういう反応をもらったって、素直に喜べない。
  だって、何だかんだで花井は結局優しいから。放っておけないと誰にでも優しくしてしまうような奴だから――それじゃあ、意味、ないんだよ。

「……はな、い」
(ああ、すくいようが ない)

  小さくとも、結局呼んでしまった名前。
  どうか、気づかないで。でも、オレの存在には気づいてほしい、なん て。



個人的且つ内向的な恋情
(  ぎゅぎゅぎゅっ、と 閉じ込めた我儘な本音を君は知らない  )

お題配布元@opaque [ttp://opaqueam.web.fc2.com/]


いつか似たような話を書いたなとボツにしたのを今更ひっぱってきました^^花水すきだな。水谷がぐるぐるしてるのが好き。なんだかんだで気になって放っておけなくなっちゃう花井いいよ。ほんといいよ。。。水谷が元気ないと気持ち悪いって構ってあげればいいと思います^V^まだまだ好きだよ!

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