corda3:榊と律 (捏造万歳!)
目指すべきものは、ただ一つ。
目指すべきものは、ただ一つ。
“全国”
その言葉を口にした途端、榊はわかりやすく苦笑した。
「気持ちはわかるけど、そう焦るなよ」
「別に焦ってなどいない」
おもむろに腕を組む俺を見て、榊はやれやれと肩を竦ませると何を思ったのか、そっと此方へ手を伸ばし、頬にかかっていた髪に触れてきた。
いつもの戯れの延長である手を振り払おうとして出来なかったのは、彼があまりにも真剣な目で俺を射抜いたからだ。
「律」
髪に触れていた手が下りてゆき、ぽん、と軽い力で右肩が叩かれる。
「お前は、もっと肩の力を抜くべきだ」
自分のものより少し高い位置にある目を見上げれば、にっと笑いかけられた。意識せずとも、眉間に皺が寄るのがわかる。
「何を、」
「りーつ」
深い息を吐く榊の顔は笑みを残しつつも、仕方ないとでも言いたげな色が浮かんでいた。時々、こいつはこんな表情をする。
「お前は頼りになる部長には違いないが、俺はちょっとお前が心配だよ」
ぽんぽんと続けて肩を叩くと、榊は俺の横を通り過ぎていった。じゃあな、という別れの台詞に何かを返すことも出来ず、目線だけで姿を追う。
遠ざかる背を見つめて、過ぎるのは――。
「……心配? 俺が?」
ぽつりと呟き、先ほど榊が触れていった肩に触れると、咽喉まで出かかった痛みを噛み締めることで堪えた。
「心配なのは……お前の方だろう」
彼の残したものを、緩く首を振ることで否定し、静かに背を向けた。
――俺は、まだ やれるさ。
掲げた思い
(お前に求めたのは、そんな気遣いなどでは ない)
多分、発売頃には消えてます。笑 サンプルボイス前後に書いてたものなので、余計に偽者という(…)
早くこの二人の絡むところがみたいです。二人で話せばいいのに!