笛!:渋沢←三上
どうして、お前はそうなんだ。
どうして、お前はそうなんだ。
「俺は、お前が嫌いだ」
不躾な言葉に、渋沢は少し驚いた表情をしてから、そうか、と困ったように笑った。
「でも、俺は三上のこと、嫌いじゃないぞ」
鼓膜を響かせる、いつも通りの声音に、あふれだすのは 怒りだ。
嫌いだと言っている人間に対して、何の躊躇いもなくそんなことを言ってしまえる渋沢が、いっそ憎らしい。コイツより、よほど傷ついているであろう自分自身が腹立たしく、歪んでいくのは俺ばっかりだ。
チ、と短い舌打ちをするが、気分が晴れるわけもない。
嫌いじゃない。その言葉が、一体どれだけ使い古されたものなのか、想像に容易いからこそ、憤りも増す。
でも、そうだよな。中学生ながらに良くお出来になるお前は、人を嫌うことなんてないんだろうさ。興味なんてないんだよな? 嫌うことも、好きになることだって、ないんだろう?
誰もお前の心を動かせない。
誰も……俺、だって、
「だからっ、テメーのそういうところが大っ嫌いなんだよ!」
吐き捨てた台詞に返ってくるのは、すまない、という心ない言葉だけ。苦笑に含まれる苦ささえ、嘘にしか見えない。
――いつだって、そうなんだ。
怒れよ。傷つけ。悲しんでみせろ。それが無理なら、戸惑う素振りぐらい、してみせたって、いいだろう?
それさえ無理な話だというのなら、お前なんか、今すぐ俺の前から消えてしまえばいい。
「お前、なんか……、」
ぽつりと呟いた言葉は、空気に溶ける。
ああ、と頷く渋沢の表情は、もう見ることも叶わずに、滲ん だ。
終わらせてほしかった
(好きという言葉が欲しかったわけじゃない)
(嫌いだと言った俺の言葉に、俺もだよ、と頷いてほしかった だけ)
もうすぐ、本家のお題で笛!らしいですね!楽しみすぎる(*´∀`*) そんなこんなで、傷ついてるのはryな三上さんです(笑)笛!は原作設定とよくある同人設定の境目がわからなくて、頭がごっちゃになってるので、正直話を書く時困るんですが、もう開き直ればいいかなと思いました。いつも一緒な渋沢と三上もいいですが、ちょっと距離のある二人も問題なく大好物です。ほんと攻←(ry)←受がすきすぎる。笛!はこっちの世界に踏み込んだ元凶(…)なだけあって、好きCPが多いので、こそこそ書けたらいいなと思います。
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